2016年3月9日水曜日

ナウゼリンvsプリンペラン

○どちらもドパミン受容体を遮断することによって吐き気を抑える、同じ作用の薬

○脳に届くかどうか!


『ナウゼリン』は脳まで届かない
『プリンペラン』は脳にまで届く

 そのため、『ナウゼリン』は脳の働きが原因になって起きている吐き気(中枢性の吐き気)には効果なし
 
 しかしその反面、錐体外路障害と呼ばれる副作用を起こす心配がなく、またパーキンソン病の患者へも投与が可能


○妊婦や授乳婦への安全性評価でも多少の差があり


妊娠中は『プリンペラン』
授乳中は『ナウゼリン』

が原則、というのが一般的


○中枢性の吐き気と、末梢性の吐き気の2種類

■中枢性の吐き気

脳にある「第四脳室底」から信号が発せられることによって生じる吐き気
・脳腫瘍や脳出血、くも膜下出血、髄膜炎などで脳圧が上昇して起こるもの
・不安や嫌悪感、うつ病などによる大脳皮質からの精神的な刺激で起こるもの
・糖尿病性アシドーシスや尿毒症、肝不全などの内分泌異常によるもの



■末梢性の吐き気

消化管や神経などの異常によって起こる吐き気

・舌や喉、胃腸の物理的な刺激、あるいは胃腸炎などによる胃腸運動の異常によって起こるもの
・メニエール病や乗り物酔いといった、前庭や小脳の異常で起こるもの
・モルヒネや抗がん剤などの薬物によって脳に嘔吐の信号が送られて起こるもの


○血液脳関門

『ナウゼリン』は「血液脳関門」を通過しにくい
→薬が脳に到達しないため、「中枢性」の嘔吐には効果なし


『プリンペラン』は「血液脳関門」を通過する
→脳にも到達
→「中枢性」と「末梢性」の両方に効果を発揮する
しかしその分、「錐体外路障害」と呼ばれる副作用の頻度も高くなる

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