2016年10月30日日曜日

抗凝固薬と抗血小板薬の使い分け

いつもどうやって使い分けているんだろうと疑問で
つい最近脳外科医の先生の研修を受けて質問しました。

実際、脳であれ心臓であれ若い医師でも使い分けが難しいのが現状だそうです。



1血流が遅い ⇨ 抗凝固薬(ワーファリンなど)
 血流が遅く流れきれない赤血球を巻き込んで固まる赤い血栓が出来やすい
  (大きいので詰まりやすい)
 出来た大きな赤い血栓は流れて脳や肺に詰まって固まりやすいため常に抗凝固薬で
 血液サラサラ状態を保つ必要がある

 <血流が滞る主な疾患>
 心房細動、心筋梗塞、脳塞栓症、心原性脳塞栓症、下肢静脈瘤、肺血栓症、不整脈など



2血流が早い ⇨ 抗血小板薬(バイアスピリンなど)
 赤血球など大きい分子のは血流に乗って流されるため主に残った血小板が集まった白い血栓が出来る

 白い血栓は主に動脈硬化などで血管の内側に出来たこぶ(プラークなどによる)が傷ついたところに血小板が集まって出来やすい
 プラークは主に生活習慣の乱れなどが原因で起こる


<抗血栓薬が使われる主な疾患>
 アテローム血栓性脳梗塞、狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)

2016年5月17日火曜日

点眼方法

○処方
カリーユニ 1日3回 2瓶
ジクアス 1日4回 2瓶

投薬時、眼科の先生が点眼方法を
「親指と中指で点眼容器挟んで人差し指で底をポンポン叩いて点眼する」
「目薬によって1瓶で点眼出来る回数が違うから今回も本数が違う」
と教えてくれたがそうなのか?

と質問あり


○参天製薬確認

 ●点眼方法●
 特に点眼方法に決まりはない

 ただし、2本指で容器を押すより
 親指と中指で容器を支え、人差し指で底をポンポンした方が
 高齢な方など手の力が弱ってる方などにはおすすめしやすい


 ●点眼薬による滴数の違い●
 違いほぼなく一般的には
 5ml/瓶あたり100滴と考えて大丈夫

 人によって点眼する際の一滴の量に差があるので一概には言えないが
 1瓶メーカーによる滴下試験は以下の通り

 カリーユニ 108滴
 ジクアス 103滴


ついでにメーカー確認
 ●濁ってる薬は濁りの粒子に薬効があると考えてよいか?●
 その通り
 よく振らないで上澄みだけを点眼しても効果は期待出来ない

2016年3月29日火曜日

クレナフィン外用液塗る時 液が出すぎる?

患者様声あり
「ハケで塗ってると液が沢山出て困る」

○液が出やすくなる要因

 ・ボトル本体を押す
 ・爪にハケを押しつける
 ・横または逆さに保管する
 ・複数枚の爪に塗る時、横または逆さにし続けてる


○不良品の判断

 ・爪につけてもいないのに逆さにするとすぐボタボタ液だれしている場合は不良品の可能性があるのでメーカーに問い合わせる


○理想的な塗り方

 ・爪にマニキュアを塗るようにささっとひと塗りするだけ→これで十分爪の中に吸収される
 ・複数枚の爪に塗るときは、1枚毎に容器を一旦立てて使用する
 ・薄く塗った後よく乾かす


○1本あたりの使用目安

 ・爪5枚 2週間
 ・爪1枚 1~2ヶ月

 ・国際共同試験において
   平均爪使用枚数    3.8枚
   1週間の平均使用量    2.5ml 



以上科研製薬確認

新レシカルボン座剤 2個/回の処方

以下の処方の使い方

*新レシカルボン 2個/回 1回分*



○添付文章の1~2個/回の意味

 2個一度に挿入するというわけではない

 通常1個挿入後効果は10~20分で効果発現する
 →30分経っても効果がないようならもう1個挿入

 それでも出ない時は直腸付近に便が到達してない可能性があるため
 さらに5~6時間あけて挿入する


○作用機序
 
 直腸粘膜刺激による脳反射を利用して便秘改善


○挿入タイミングはいつがいい?

 いつでもいいが、便が直腸付近にないと効果が実感しにくい

 食後だと、食事による脳の蠕動運動が促されて更に効果的


ゼリヤ新薬確認

2016年3月19日土曜日

オーグメンチン +サワシリンカプセルの併用

○肺炎や虫垂炎でよく見かける処方


○アモキシシリンの使用量

日本 1日750mg~1000mg→とても少ない
海外 1日1500mg~2000mg

○βラクタマーゼとは

アモキシシリンを含む、βラクタム系抗生物質を分解してしまう酵素
(βラクタム系抗生物質にはペニシリン系やセフェム系がある。βラクタマーゼを産生する細菌はペニシリン系抗生物質やセフェム系抗生物質に耐性を持つということになる)


○アモキシシリン(AMPC)とクラブラン酸カリウム(CAV)のバランス


オーグメンチン AMPC:CAV =   2:1
クラバモックス AMPC:CAV = 14:1
海外では    AMPC:CAV =   4:1が主流

○オーグメンチン250RS 6T 3×Nはなぜだめ?

単純に2倍にするとクラブラン酸カリウムも倍になり副作用である下痢や吐き気が出やすくなってしまう

クラブラン酸は少量に抑えアモキシシリンの用量を増やすのが理想


ゆえに
オーグメンチン配合錠250RS 3T 3×N
サワシリンカプセル250 3C 3×N

→は海外と同様の AMPC:CAV =   4:1
 となり抗生剤の効果を最大にしつつ副作用を最小限に抑えることができる

2016年3月17日木曜日

薬vsGFJとアムロジン

これまたグレープフルーツは有名だけどその他を投薬時に思い出せない事があるので再度確認(・∀・)


グレープフルーツに含まれる天然フラボノイド成分が、肝臓や消化管粘膜に存在する‘くすりを代謝する酵素‘‘チロクロームP450 3A4(CYP3A4)’’を阻害するため薬が体にとどまり薬の効果が高まる




グレープフルーツ以外ではなにがある?

 夏みかん スウィーティー ザボン ゆず ブンタン ポンカン いよかん はっさく 


服用に影響ないもの

 バレンシアオレンジ 
 レモン  カボス  温州みかん  マンダリンオレンジ



どのくらい時間あける必要なある?


グレープフルーツの影響は、一般的に摂取後24時間程度に及ぶといわれている

グレープフルーツと服用する薬が相互作用の影響を受ける時間はそれぞれの薬によって異なり
長いものでは2~4日程度持続するものもある

したがって、グレープフルーツと飲み合わせの悪い薬を服用している間はグレープフルーツの摂取は避ける必要がある


カルシウム拮抗の中でもアムロジンは併用出来る?


海外では臨床的にも問題ないと添付文章からはなくなっている

日本ではデーターが少なく添付文章に残っているが
併用注意程度の分類とのこと

因みに
非臨床実験で数十%血圧効果作用に影響があったと報告はでているが
臨床では報告は今のところ出ていない

仮にGFJを飲んでしまったら起きる可能性のある症状

血圧低下
顔が赤くなる


参考ネット
  http://www.tsuchiya-hp.jp/hpt/tty/yakuzai_kmado201011.htm

2016年3月14日月曜日

半減期24時間のユーロジンはなぜ1日中眠くならない?

日経D I より面白い記事を職場の方がみつけてくれました!

詳細は日経 DI 参考に
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/yamamoto/201401/534623.html

見れない人用にまとめると
⚫︎体内動態学より、半減期の5倍が経過すると、その血中濃度は定常状態に達し常に一定の効果を期待出来る濃度に達する
 →半減期24時間のユーロジンなら5日続けて服用すれば定常状態になる

⚫︎定常状態とは
 連用すると血中濃度はわずかな日内変動しか示さないようになること
血中濃度に準じた眠気が一日中続くという意味ではない)

⚫︎起きることができる体の仕組み
 睡眠薬の影響下で十分眠った後には、血中濃度がさほど降下しなくとも目覚めることができる。それは、脳にある強力な覚醒機構が発動するからである。脳の覚醒機構はそれ自体の作動原理を持っており、薬物の影響下の睡眠に対しても、覚醒機構を活性化することで、自らの睡眠構造や日内リズムを保とうとするため

脳にある”強力な覚醒機構”が発動することで睡眠薬が定常状態に達しても、朝になるとちゃんと目覚めることができるし、眠気が一日中続くこともない


⚫︎このタイプの睡眠薬、つまり定常状態になるような睡眠薬の確実な効果を得るためには、毎日きちんと飲むことが必要になる

⚫︎注意
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬が定常状態に達しているということは、やはり筋弛緩作用による転倒やふらつきには充分に注意を払わなければならない


以上です
記事をそのままコピーしてきてるので駄目であれば削除します

2016年3月9日水曜日

ネリゾナクリームとネリゾナユニバーサルクリームの違い

どちらとも一般名:
「ジフルコルトロン吉草酸エステルクリーム」

●クリーム

O/W型
展延性に優れべとつきが少なく特に夏季に好まれる

軟膏と比べて皮膚乾燥作用や刺激があるという欠点

●ユニバーサルクリーム

W/O型
軟膏とO/W型クリームの中間的な性質
多少の湿潤面から乾燥面まで比較的適用範囲は広い
ネリゾナユニバーサルクリームの方が軟膏の性質に近いクリームである


●軟膏

油脂性の軟膏
クリームに比べて刺激が少なく安全性に優れ、全身の湿潤性病変から乾燥性病変まで幅広く使用される

べとつくという欠点あり


●ソリューション

エタノールを含むソリューションは、有毛部や間擦部の乾燥性病変に使いやすく、清涼感がある

掻破痕などがあると一過性の刺激感を生じることがあるので注意が必要

●補足

メーカーからの返答ですと、
水分含有量が異なるとのこと。

クリームは、o/wで、水分量:68% ややべとべと

ユニバーサルクリームは、w/oで、水分量:30%さらさら

厚生省、メーカーの見解は、一般名で処方の場合、どちら選んでも間違いではない。
念には念をいれるなら、処方元に確認が、安心

アムロジピンvsアダラートCR

○高圧効果はほぼ同等


○アムロジピン

半減期33-39時間と長い

 -血圧の変動が起こりにくい非常に優秀な降圧剤

 -1日を通して一定な為ARBなのどの合剤の相手になりやすい


○アダラートCR

服薬2時間後、10時間後に血中濃度がピークに達する二峰性(ゆえに1日1回服用薬)

 -アムロジピンのように一日を通して一定の血圧を保てないため、1日2回で処方されてしまってるのが現状の1日1回薬としては不十分な薬

 -それゆえ、時間降圧療法にはメリットあり
 夕食後~就寝前に服用することで、本剤の2次ピークが早朝血圧上昇時に効果あり


鉄vs制酸剤

○添付文章では吸収低下による併用注意項目

制酸剤によりpH上昇により陰イオンと鉄が高分子重合体を形成し吸収低下

○鉄剤の種類

無機鉄:硫酸鉄(フェログラデュメット)
    有機鉄:クエン酸第一鉄(フェロミア)

○クエン酸第一鉄ナトリウム 半減期3~4時間

酸性~塩基性の広いpH範囲で低分子鉄として溶解出来る

 ⇒制酸剤の影響を受けにくい
  同時に服用してもほぼ問題ない(エーザイ確認済み)

○フェログラデュメット 半減期12時間

pH上昇により難溶性の物質となり吸収は低下すると言われているが、臨床上では併用しても大きな問題とならず、間隔をあける必要なし(マイラン確認済み)

 叙放製剤のため空腹時服用でも胃に優しく胃腸障害が生じにくい
 粉砕、水に溶かした場合は徐放性が取れ一気に鉄が出るため胃腸障害に注意

フェログラデュメットは胃酸のpHにより鉄の放出にバラツキがあり以前までは空腹時服用ともなっていた、それを改良したのが、pH範囲の広いフェロミアで、安定した鉄の吸収が見込める

比べてないが臨床による貧血治療に対する大差はないと考えられる(マイラン)

アラミストvsナゾネックス

○日本では比較のデータなし
○海外では成人で比較したデータあり
 効果、副作用ともに大きな違いなし

今回兄弟でナゾネックス、アラミストをわけての処方がきて患者様に違い聞かれました。
先生は別の点鼻の方が混ざらなくっていいので分けたとのことでした

一応参考に
12歳と早い段階で大人の用量が使えるのがナゾネックスなので
12歳以上の子で症状ひどければアラミスト→ナゾネックスの提案もありかも

ナウゼリンvsプリンペラン

○どちらもドパミン受容体を遮断することによって吐き気を抑える、同じ作用の薬

○脳に届くかどうか!


『ナウゼリン』は脳まで届かない
『プリンペラン』は脳にまで届く

 そのため、『ナウゼリン』は脳の働きが原因になって起きている吐き気(中枢性の吐き気)には効果なし
 
 しかしその反面、錐体外路障害と呼ばれる副作用を起こす心配がなく、またパーキンソン病の患者へも投与が可能


○妊婦や授乳婦への安全性評価でも多少の差があり


妊娠中は『プリンペラン』
授乳中は『ナウゼリン』

が原則、というのが一般的


○中枢性の吐き気と、末梢性の吐き気の2種類

■中枢性の吐き気

脳にある「第四脳室底」から信号が発せられることによって生じる吐き気
・脳腫瘍や脳出血、くも膜下出血、髄膜炎などで脳圧が上昇して起こるもの
・不安や嫌悪感、うつ病などによる大脳皮質からの精神的な刺激で起こるもの
・糖尿病性アシドーシスや尿毒症、肝不全などの内分泌異常によるもの



■末梢性の吐き気

消化管や神経などの異常によって起こる吐き気

・舌や喉、胃腸の物理的な刺激、あるいは胃腸炎などによる胃腸運動の異常によって起こるもの
・メニエール病や乗り物酔いといった、前庭や小脳の異常で起こるもの
・モルヒネや抗がん剤などの薬物によって脳に嘔吐の信号が送られて起こるもの


○血液脳関門

『ナウゼリン』は「血液脳関門」を通過しにくい
→薬が脳に到達しないため、「中枢性」の嘔吐には効果なし


『プリンペラン』は「血液脳関門」を通過する
→脳にも到達
→「中枢性」と「末梢性」の両方に効果を発揮する
しかしその分、「錐体外路障害」と呼ばれる副作用の頻度も高くなる